もっかんとうかんかんしつかんろうさんいん 古墳に遺体を埋葬する際に使用された棺には、石棺・木棺・陶棺・乾漆棺などがある。そのうち石棺は最も堅牢で密閉性に優れている。 大型の石棺は古墳時代の特色だが、石棺には、大きな石材をくり抜いたものと板状の石材を組み合わせたものがある。 くり抜き式の割竹形石棺と舟形石棺、組み合わせ式のはこがた箱形石棺は4世紀後半に現れる。5世紀には組み合わせ式の長持形石棺が近畿地方を中心に広がり、中部九州や山陰・北陸・関東などでは舟形石棺が発達した。6世紀には、近畿・九州・山陽・山陰・東海・北関東(群馬県西部中心)の一部に、地方の特色を備えた独自のくり抜き式や組み合わせ式の家形石棺が盛んに用いられ、7世紀に入っても一部で継続して使用された。 ちなみに、綿貫観音山古墳(P.49)では、棺は用いられておらず、一段高くした床に、金の装飾のついた布をかけて埋葬したと推定されている。さらに、鉄の吊り具が見つかっていることから、被葬者を囲むように布の幕が張られていたと考えられている。まいそうわりだけがたながもちがたきん きさんよういえがたけいぞくひつぎふながたけん石棺の中でも「王者の棺」といわれる非常に格調高い石棺が太田天神山古墳とお富士山古墳で使われた「長持形石棺」であり、東日本ではこの2箇所だけだ。太田天神山古墳の石棺は、残念ながら破片しか残されていないが、お富士山古墳のものは、厚さが10cmもあり、高度な技術で造られていて、近畿地方のものと比較しても遜色ないといわれている。そんしょく木は腐ってしまうからなかなか残らないのね〜へんせんせっかん第1章 古墳県ぐんまを探検するおうじゃせっかん▲ 豪族の埋葬施設08▲ 木棺4世紀後半〜舟形石棺(くり抜き式)5世紀〜長持形石棺(組み合わせ式)5世紀家形石棺(くり抜き式・ 組み合わせ式)6〜7世紀▲ 瓢塚40号墳の箱形石棺(千葉県)▲ 保渡田八幡塚古墳の舟形石棺(高崎市)▲ お富士山古墳の長持形石棺(伊勢崎市)▲ 宝塔山古墳の家形石棺(前橋市)ひさごづか箱形石棺(組み合わせ式)石棺の種類と変遷王者の石棺いろいろな棺4
元のページ ../index.html#11