「甲を着た古墳人」現る 渋川市の金井遺跡群は、6世紀初頭の1度目の噴火で埋もれた。金井東裏遺跡(P.42)では、副葬品として見つかるだけだった甲が、日本で初めて人が着た状態で見つかり、世紀の大発見として大ニュースになった。 また、金井下新田遺跡(P.42)では、馬の飼育が行われていたことが判明した。 高崎市の三ツ寺Ⅰ遺跡(P.40)や北谷遺跡では、豪族の館と見られる跡が見つかった。深い濠に囲まれた広大な敷地に、柱をたくさん使った大型の建物が整然と配置され、まつりを行った場所や銅や鉄などを使ったさまざまな道具を製作した工房などもあった。 三ツ寺Ⅰ遺跡は豪族の館として全国初の発見で、その後見つかったものと比べても最大級のものだ。当時の豪族の館は埴輪などから想像するしかなかったが、この発見により、その構造や暮らしの様子がリアルに蘇ることとなった。きたやつほりよみがえ 高崎市の保渡田古墳群(P.39)は、その館の主である豪族の墓と考えられている。▲ ポンペイ遺跡とヴェスヴィオ山▲ ホヤ・デ・セレン遺跡 世界遺産に登録されている噴火関連遺跡としては、西暦79年のベスビオ山の噴火で埋もれたイタリアのポンペイと、西暦600年頃のロマ・カルデラ山の噴火で埋もれたエルサルバドルのホヤ・デ・セレンがあるのじゃが、榛名山噴火関連遺跡は、この2つの遺産と比べても、遜色ない価値を有していると考えられるぞ。 火山の噴火は、当時の人々には大変不幸な出来事であったことは間違いないのう。しかし、噴火により短時間で厚くたまった火山灰や軽石の下からは、普通の遺跡ではわからないようなさまざまな当時の生活の痕跡を発見することができ、当時のムラの様子や田畠のことを詳しく知ることができるのじゃ。たそんしょくこんせきはた第3章 榛名山噴火関連遺跡を探検する27▲ 三ツ寺Ⅰ遺跡の豪族の館復元模型(高崎市、かみつけの里博物館)◀ 甲を着た古墳人 (渋川市、 金井東裏遺跡)◀ 馬骨 (渋川市、 金井下新田遺跡) ▲ 豪族の墓(高崎市、保渡田八幡塚古墳)よろい世界の噴火関連遺跡全国初の発見!豪族の館跡
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